肥後あすか 元博士課程学生(特定研究員を経て、現在は横浜市立大学木原生物学研究所特任助教)、國本 完 元修士課程生、冨田由妃 教務補佐員、荒木 崇 教授と、西浜竜一 准教授、河内孝之 教授、グレゴール・メンデル研究所(ウイーン)の河島友和 博士研究員(現ケンタッキー大学助教授)、Frederic Bergerシニア・グループリーダーらの「植物における精子形成の起源」に関する研究成果が、「Nature Communications」誌に掲載されました。

肥後あすか 元博士課程学生(特定研究員を経て、現在は横浜市立大学木原生物学研究所特任助教)、國本 完 元修士課程生、冨田由妃 教務補佐員、荒木 崇 教授と、西浜竜一 准教授、河内孝之 教授、グレゴール・メンデル研究所(ウイーン)の河島友和 博士研究員(現ケンタッキー大学助教授)、Frederic Bergerシニア・グループリーダーらの「植物における精子形成の起源」に関する研究成果が、「Nature Communications」誌に掲載されました。

肥後あすか 元大学院生のグレゴール・メンデル研究所における共同実験は、本研究科の国際交流促進プログラム BRIDGEによる学生海外派遣による支援を受けており、その際に得られた実験結果が本論文のFig. 2cに用いられました。

動植物は精子と卵による有性生殖をおこないますが、この異型配偶子性がどのような進化的な起源を持ち、どのような遺伝子によるのかはほとんどわかっていません。われわれは、京都大学発のモデル植物であるゼニゴケ、シロイヌナズナ、コマチゴケ、3種のシャジクモ、ヒメミカヅキモなどを用いた発現や機能の比較研究により、植物では、MYB転写因子をコードするDUO1遺伝子が、鞭毛を有し運動能を持つシャジクモ植物やコケ植物の精子と花粉管によって受動的に運ばれる被子植物の非運動性の精子の形成に関わる共通の遺伝子であることを明らかにしました。興味深いことに、シャジクモ植物の基部で分岐し有性生殖が報告されていないクレブソルミディウムなどの藻類にはDUO1遺伝子は存在せず、陸上植物の姉妹群とされ、二次的に精子と卵の形成をやめて接合(同型配偶子性)に転換した接合藻類ではDUO1遺伝子の機能が失われておりました。これらの知見は、DUO1遺伝子の獲得が植物における精子形成の起源・進化と深く関連していることを示唆します。

ほとんどの作物を含む被子植物の精子形成過程は、進化の過程で高度に圧縮・単純化されており、そのことが却ってその理解を難しくしている側面もあります。精子形成過程が獲得当初のほどよい複雑さを留めているゼニゴケは植物の精子形成の良いモデル系となることが期待されます。

論文URL:https://www.nature.com/articles/s41467-018-07728-3

雑誌名:Nature Communications

論文タイトル:Transcription factor DUO1 generated by neo-functionalization is associated with evolution of sperm differentiation in plants.

著者:Asuka Higo*, Tomokazu Kawashima*, Michael Borg, Mingmin Zhao, Irene López-Vidriero, Hidetoshi Sakayama, Sean A. Montgomery, Hiroyuki Sekimoto, Dieter Hackenberg, Masaki Shimamura, Tomoaki Nishiyama, Keiko Sakakibara, Yuki Tomita, Taisuke Togawa, Kan Kunimoto, Akihisa Osakabe, Yutaka Suzuki, Katsuyuki T. Yamato, Kimitsune Ishizaki, Ryuichi Nishihama, Takayuki Kohchi, José M. Franco-Zorrilla, David Twell, Frédéric Berger**, and Takashi Araki**

(*: 共筆頭著者、**: 共責任著者)

DOI番号:10.1038/s41467-018-07228-3

詳細はこちらからご覧ください。
京都大学での解説

http://www.kyoto-u.ac.jp/ja/research/research_results/2018/181211_1.html

グレゴール・メンデル研究所での解説

https://www.oeaw.ac.at/gmi/detail/news/article/the-evolution-of-sperm-started-with-a-single-molecular-change/

京都大学大学院 生命科学研究科 統合生命科学専攻 環境応答制御学講座 分子代謝制御学分野
http://www.plantdevbio.lif.kyoto-u.ac.jp/index.html

左から、河島友和博士、荒木 崇教授、肥後あすか博士、Frederic Berger博士