木原 均 博士(1893.10.21-1986.7.27)


 木原 均(きはら ひとし)博士は、 講座・分野の歴史 でも述べたように、当分野とも縁(ゆかり)が深い遺伝学者である。荒木は、研究経歴の最初期に、もともとは木原博士に由来する日本アサガオのムラサキ株を用いて花成生理学の研究をおこなったこと、また、奇しくも、木原博士を記念して設立された財団(現・木原記念横浜生命科学財団)から、学術賞(2009年)をいただくことになったこともあり、いっそう深い縁を感じている。
 木原博士のお人柄や科学研究のみにとどまらない足跡と交流は、多くの写真を交えた著書
 木原 均 『一粒舎主人寫眞譜』 木原生物学研究所, 1985年. 
によって、うかがうことができる。
木原 均 木原 均

『一粒舎主人寫眞譜』の表紙と同書248頁の木原博士の写真


 木原博士は、「生物をその生物たらしめるのに必須な最小限の染色体のセット」というゲノムの定義や、「地球の歴史は地層に、生物の歴史は染色体に記されてある」という名言によって広く知られている。木原博士のコムギの祖先に関する研究は、一般向けの著書
 木原 均 『コムギの合成 木原均 随想集』 講談社, 1973年. 
に紹介されている。同書巻末には、1972年までの論文目録が添えられている。
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『一粒舎主人寫眞譜』扉頁に掲げられた木原博士の言葉と『コムギの合成』の表紙