藻類の光合成ターボエンジンを制御する「ブレーキ」を発見 ~高CO₂環境での「空吹かし」を防ぎ、バイオ燃料等の省エネ化へ道~

  • 准教授 山野 隆志
2026/2/16
  • 微生物細胞機構学

概要

山野隆志 京都大学生命科学研究科 准教授、嶋村大亮 理化学研究所 環境資源科学研究センター特別研究員(元・生命科学研究科 研究員)、安田詢子 同修士課程学生(研究当時)、山原洋佑 同修士課程学生(研究当時)、中野博文 同修士課程学生(研究当時)、福澤秀哉 京都女子大学高等教育開発センター教授(元・生命科学研究科 教授)らの研究グループは、光合成におけるCO₂濃縮メカニズム(光合成のターボエンジン:水中の乏しいCO₂ を葉緑体内に濃縮し、光合成をフル回転させる仕組み)を、不要な時に抑制する「ブレーキ役」のタンパク質「CBP1」を発見しました。

これまで、CO₂が少ない環境でターボエンジンを始動させる「アクセル」の仕組みは知られていましたが、工場排ガスのような高CO₂ 環境(ターボが不要な環境)で、いかにしてエンジンをスローダウンさせエネルギーを節約しているかは謎に包まれていました。本研究により、藻類が環境に応じてアクセルとブレーキを使い分ける精巧な省エネ生存戦略が明らかになりました。この成果は、高濃度CO₂を利用した藻類バイオ燃料生産やカーボンリサイクル技術において、エネルギー効率を最大化する藻類の育種に応用できると期待されます。

本研究成果は、2026 年2 月4 日に国際学術誌「PNAS」にオンライン掲載されました。

論文タイトルと著者

  • タイトル

    A nuclear CobW/WW-domain factor represses the CO₂-concentrating mechanism in the green alga Chlamydomonas reinhardtii
    (核内CobW/WW ドメイン因子は緑藻クラミドモナスのCO₂ 濃縮機構を抑制する)

  • 著者

    Daisuke Shimamura, Junko Yasuda, Yosuke Yamahara, Hirofumi Nakano, Shin-Ichiro Ozawa, Ryutaro Tokutsu, Ayumi Yamagami, Tomonao Matsushita, Yuichiro Takahashi, Takeshi Nakano, Hideya Fukuzawa, Takashi Yamano

  • 掲載誌

    Proc. Natl. Acad. Sci. USA

詳しい研究内容について

藻類の光合成ターボエンジンを制御する「ブレーキ」を発見 ~高CO₂ 環境での「空吹かし」を防ぎ、バイオ燃料等の省エネ化へ道~

研究者情報

研究者
所属研究室 微生物細胞機構学
研究室サイト https://www.molecule.lif.kyoto-u.ac.jp/