タンパク質リン酸化による液-液相分離制御のしくみを解明―細胞内非膜型オルガネラの構築原理の解明へ―

  • 准教授 吉村成弘
2022/5/13
  • 分子情報解析学

概要

吉村成弘 生命科学研究科准教授、山﨑啓也 同博士課程学生(現:東京大学助教)、平野達也 理化学研究所主任研究員、高木昌俊 同専任研究員、小迫英尊 徳島大学教授らは、タンパク質の翻訳後修飾であるリン酸化が、核小体などの細胞内非膜型オルガネラの構造形成および機能発現で重要な役割を果たす「液-液相分離」を制御する新たな仕組みを解明しました。リン酸化は、タンパク質の立体構造変化を介してその機能を調節することが知られていましたが、立体構造を持たない(天然変性)タンパク質の機能を制御するしくみは不明でした。本研究では、リン酸基による負電荷の付加が天然変性タンパク質の「電荷ブロック」を増減させることで、「液-液相分離」を正または負に制御していることを明らかにしました。本研究成果は「タンパク質の翻訳後修飾」と「液-液相分離」とを繋ぐ重要な知見です。核小体は、細胞増殖、ウイルス増殖、自然免疫反応、がん、ストレス応答に関係する非膜型オルガネラであり、今後、この知見に基づく作用機序の解明や新たな治療法の開発につながる研究成果が期待されます。

本研究成果は、2022年5月5日に、国際学術誌「Nature Cell Biology」に掲載されました。

(解説動画)YouTube :https://www.youtube.com/watch?v=mEUWk451FBU

論文タイトルと著者

  • タイトル

    Cell cycle-specific phase separation regulated by protein charge blockiness(分裂期
    リン酸化は電荷ブロック効果を介してタンパク質液-液相分離を制御する)

  • 著者

    H. Yamazaki, M. Takagi, H. Kosako, T. Hirano, and S.H. Yoshimura

  • 掲載誌

    Nature Cell Biology

詳しい研究内容について

 タンパク質リン酸化による液-液相分離制御のしくみを解明 ―細胞内⾮膜型オルガネラの構築原理の解明へ―

研究者情報

研究者
所属研究室 分子情報解析学
研究室サイト http://www.chrom.lif.kyoto-u.ac.jp/