卵幹細胞ニッチの形づくりが卵幹細胞の数と卵産生能を決めることを解明
- 教授 井垣達吏
- 特定講師 谷口喜一郎
- システム機能学
概要
幹細胞とは、自身を複製しながら様々な細胞種へと分化することができる細胞です。幹細胞がその性質を維持するためには、ニッチ細胞が作り出す「幹細胞ニッチ」と呼ばれる特殊な環境が必要です。幹細胞は、幹細胞ニッチにぴったりと寄り添うように存在しています。ショウジョウバエの卵巣では、ニッチ細胞が作り出す皿状の幹細胞ニッチに2~3個の卵幹細胞が納まって存在していますが、ニッチの形にどのような意義があるのかはわかっていませんでした。 今回、井垣達吏 生命科学研究科教授、谷口喜一郎 同特定講師の研究グループは、細胞競合と呼ばれる細胞間の相互作用を介した細胞死誘導プログラムが働かないショウジョウバエの卵巣では卵幹細胞の数が2倍に増加しており、その原因がニッチの形の異常であることを発見しました。さらに、幹細胞ニッチの皿状の形がどのようにつくり出されるか調べたところ、発生期においてニッチ細胞の周りでおこる細胞死(アポトーシス)が関与していることを見いだしました。最後に、幹細胞ニッチの形の異常が卵産生にどのような影響を及ぼすか調べたところ、卵幹細胞の数が増えるにもかかわらず卵産生量は低下してしまうことがわかりました。
本研究により、これまで不明であった幹細胞ニッチの形づくりに細胞死の仕組みが利用されていることが分かりました。さらに、幹細胞ニッチの形が効率的な卵産生に貢献していることを明らかにしました。
本研究成果は、2023年3月27日に、国際学術誌「PLoS Genetics」にオンライン掲載されました。
論文タイトルと著者
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タイトル
Sas-Ptp10D shapes germ-line stem cell niche by facilitating JNK-mediated apoptosis
(Sas-Ptp10DはJNK依存的なアポトーシスを介して幹細胞ニッチをかたちづくる) -
著者
Kiichiro Taniguchi and Tatsushi Igaki
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掲載誌
PLoS Genetics
詳しい研究内容について
研究者情報
研究者 |
教授 井垣 達吏教員情報
特定講師 谷口 喜一郎教員情報
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所属研究室 | システム機能学 |
研究室サイト | https://igakilab.lif.kyoto-u.ac.jp/ |