成⻑期における脂肪酸とアミノ酸の過剰摂取が将来の寿命を短縮する ―幼若体内のヒストン修飾酵素の機能の低下を経て―
- 特定准教授 服部 佑佳子
- 細胞周期学
概要
成⻑期の栄養環境(栄養履歴)は、成⼈した後の疾患の発症リスクや寿命にまで、成⻑期を越えて影響しうることが報告されています。しかし、そのメカニズムには不明な点が多く残されています。
京都⼤学⼤学院⽣命科学研究科 元⼤学院⽣及び研究員 ⽔⾕祥⼦、同助教 服部佑佳⼦(現:京都⼤学⽩眉センター特定准教授)、同教授 上村匡(現:京都⼤学名誉教授)らの研究グループは、モデル⽣物キイロショウジョウバエの幼⾍に、特定の脂肪酸[1]と分岐鎖アミノ酸[2]を過剰に摂取させると、成⾍になった後に標準的な餌で飼育しても寿命が短縮することを発⾒しました。そして、この栄養履歴の下で成⻑した幼⾍の体内では、ヒストンアセチル基転移酵素Gcn5[3]の機能が低下していること、さらに、Gcn5の機能を幼⾍期に低下させるだけで成⾍の寿命が短縮することを⾒出しました。本研究では、世界に先駆けて動物の寿命に影響を与える栄養履歴を体系的に探索し、栄養履歴の標的分⼦の1つが幼若体内のGcn5である可能性を⽰しています。
本研究成果は、2025年7⽉10⽇に欧州の国際学術誌「EMBO Reports」にオンライン掲載されました。
論文タイトルと著者
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タイトル
Growth phase diets diminish histone acetyltransferase Gcn5 function and shorten lifespan of Drosophila male
(成⻑期での特定栄養素の過剰摂取はヒストンアセチル基転移酵素Gcn5 の機能を低下させ、キイロショウジョウバエのオスの寿命を短縮する) -
著者
Shoko Mizutani, Kanji Furuya, Ayumi Mure, Yuuki Takahashi, Akihiro Mori, Nozomu Sakurai, Takuto Suito, Kohjiro Nagao, Masato Umeda, Kaori Watanabe, Yukako Hattori, Tadashi Uemura
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掲載誌
EMBO Reports
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DOI
10.1038/s44319-025-00503-8
詳しい研究内容について
研究者情報
研究者 |
特定准教授 服部 佑佳子教員情報
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所属研究室 | 細胞周期学 |
研究室サイト | https://sites.google.com/kyoto-u.ac.jp/yhattori/home |