細胞周期学
研究概要
研究内容
本研究分野では、「生命の設計図」であるクロマチン・染色体動態と細胞内外の環境変動がどのように相互作用をして、生命の維持に貢献するのかを明らかにするために、以下のふたつの研究を行っている。染色体末端テロメアは遺伝子の安定な維持に必須であり、その機能異常は細胞のがん化、老化につながる。テロメアがゲノム安定性にいかに貢献するのかを分子レベルで明らかにする。一方、弱いストレスや持続する環境変動は細胞・生物にストレス抵抗性を与えることが知られている(図)。この適応的反応(獲得耐性、ホルミーシスと呼ばれる)の分子機構を明らかにする。これらの研究により、細胞の老化やがん細胞の悪性化を制御する新たな治療法の基礎的知見を与えることをめざす。
主な研究項目
- 分裂酵母、ほ乳類におけるテロメア構造・機能の解明
- 獲得耐性の生理的・病理的意義に関する研究と、それを利用した新しいがん治療法の開発
- 哺乳類転移因子の転移機構とゲノム不安定化の研究
- 細胞老化誘導メカニズムの解明と、それを利用した新しいがん治療法の開発
- 染色体末端融合の引き起こすゲノム不安定化機構の研究
一般に、細胞に致死的ストレスを突然与えると細胞死を導くが(A)、あらかじめ弱いストレスを与えた後に致死的なストレスを負荷すると、細胞はストレス抵抗性を獲得して生存可能な場合がある(B)。
これは弱いストレスによって細胞がストレス抵抗性を獲得することを示しており、獲得耐性あるいはホルミーシス(hormesis)と呼ばれる。がん細胞は宿主免疫細胞、ニッチ環境、治療などによって常に弱いストレスを経験し、ストレス耐性を獲得していると考えられる。従って、これを阻止することでがん細胞の悪性化を遅延させる可能性がある。
メンバー
教授 | 石川冬木 | fishikaw@lif.kyoto-u.ac.jp |
准教授 | 三好知一郎 | miyoshi.tomoichiro.5e@kyoto-u.ac.jp |
助教 | 中岡秀憲 | nakaoka.hidenori.6n@kyoto-u.ac.jp |
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