研究概要
研究内容
減数分裂は、精子と卵子をつくる特殊な細胞分裂です。減数分裂における不具合は、不妊や流産、先天性疾患の原因となりますが、その一方で、減数分裂の基本的なメカニズムには、まだ謎が多く残されており、これが不妊問題の理解を妨げています。我々は、モデル生物線虫を用いて、減数分裂における染色体を制御する基本的なメカニズムを明らかにし、生殖問題の理解に貢献することを目指します。
減数分裂において、二倍体の前駆細胞から一倍体の精子・卵子を産み出すためには、相同染色体のペアリング、交叉型組み換え、染色体分配によりゲノムを半数化しなければなりません。特に、交叉(キアズマ)形成は、ゲノムDNAをわざわざ切断して、相同染色体とつなぎ変えることで形成するため、非常に複雑かつリスキーなプロセスです。また、これらの複雑なイベントが、正しいタイミングで起こるように、細胞周期の進行も厳密に制御されなければなりません。我々は、卵母細胞が非常に豊富で、遺伝学的解析が容易な線虫をモデル生物として、染色体制御のメカニズム、DNA二重鎖切断・組み換えのメカニズム、細胞周期制御のメカニズムなどを明らかにしようとしています。得に高解像度、超解像度顕微鏡を用いたイメージングを強みとしており、顕微鏡を用いて細胞というワンダーランドを覗き込み、その美しさ、精巧さに感動しながら「どうやって細胞はこんな複雑なことをやってのけるのだろう?」というquestionを解き明かそうとしています。研究室で活用する技術は、基本的な遺伝学、生化学、最先端のイメージングのみならず、ゲノム解析やAIを用いた構造解析、ゲノム編集技術も取り入れ、幅広いアプローチから減数分裂の謎に迫ることを目指しています。
主な研究項目
- 減数分裂における染色体のダイナミックなふるまいを制御するメカニズムの解明
- 減数分裂を保障する細胞周期制御、DNA切断・修復・組み換え制御、ゲノムの構造解析
- 超解像度顕微鏡やライブイメージングを用いた染色体構造の解析
- AIを用いたタンパク質構造解析に基づく遺伝子機能解析
- 線虫における遺伝学、ゲノム編集を用いた遺伝学的・分子細胞学的解析
メンバー
CARLTON, Peter准教授 |
carlton.petermark.3v*kyoto-u.ac.jp 教員情報 |
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アクセス
吉田キャンパス 医学部構内 先端科学研究棟